金沢地方裁判所 昭和39年(ワ)29号 判決 1964年5月30日
主文
被告は原告に対し金三二〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和三九年一月二四日から右支払ずみに至るまで年六分の割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決は原告において金六〇、〇〇〇円の担保を供するときは、仮に執行することができる。
事実
第一、当事者双方の申立
一、原告
主文第一、二項同旨の判決並びに仮執行の宣言
二、被告
「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」
との判決
第二、原告の請求原因
一、被告は訴外三浦咲夫(以上単に訴外三浦と称する。)に宛ていずれも支払地及び振出地金沢市、支払場所富山相互銀行金沢支店なる左記約束手形四通(以下単に本件手形と称する。)を振出し交付した。
1、額面 四〇、〇〇〇円
振出日 昭和三七年四月一一日
満期 昭和三七年五月一一日
2、額面 一〇〇、〇〇〇円
振出日 昭和三七年四月一二日
満期 昭和三七年五月一二日
3、額面 一〇〇、〇〇〇円
振出日 昭和三七年四月二七日
満期 昭和三七年五月二七日
4、額面 八〇、〇〇〇円
振出日 昭和三七年四月二九日
満期 昭和三七年五月二九日
二、訴外三浦は、期限後である昭和三八年七月頃本件手形を白地式裏書により原告に譲渡し、原告は現に本件手形を所持するものである。
三、よつて原告は、被告に対し右手形金合計三二〇、〇〇〇円およびこれに対する支払命令正本の送達の翌日から右完済に至るまで商法所定利率年六分の割合による遅延利息の支払を求める。
四、なお後記被告の自白の取消には異議がある。
五、被告の抗弁事実は否認する。
第三、被告の答弁及び抗弁
一、原告の請求原因一の事実は認める、同二の事実中、原告が現に本件手形を所持していることは認めるも、その余の事実は否認する。なお第二回口頭弁論期日(昭和三九年四月八日)において、原告の請求原因事実を全部認めたが、その中、原告が本件手形を昭和三八年七月頃訴外三浦より白地式裏書により譲渡を受けたとの点は真実に反し且つ錯誤に基いてなしたものであるからその部分の自白を取消して右事実は否認する。
二、原告は本件手形につき無権利者である。
即ち本件手形の訴外三浦より原告に対する白地式裏書は、満期後訴外三浦が死亡したことを奇貨として原告がこれを偽造したものであるから訴外三浦より原告に対する裏書譲渡行為は存在しなかつたものである。従つて原告は本件手形につき無権利者である。
三、仮に右主張が理由がないとしても、本件手形は書替後のいわゆる手残り手形(旧手形)であつて手形としては失効しているものである。
四、仮に右主張が理由がないとしても、被告は右旧手形金を訴外三浦に対し弁済したから、訴外三浦から期限後裏書により本件手形を取得した原告に対し、本件手形金を支払う義務はないものである。
第四、証拠(省略)